朝。
 それは明日も今日も変わらない。
 パジャマから制服に着替えて、顔を洗って、髪を解いて、朝食を食べて、歯磨きをして、学校へ行く。
 ほかにすることは無いもの。
 母はまだ寝ているし、父はまず居ないし。

 無造作に下ろしてある髪を靡かせて、通学路を歩く。
 時間にはまだ余裕がある。ゆっくり歩こう…。
 そうして、ゆっくり歩いてもものの10分で着いてしまう我が鈴宮高等学校。
 勿論教室にも誰も居ないわけで。
 1年3組(私がいるクラス)の教室は、しんと静まり返っていた。
 季節は夏。というかその間際。梅雨がちらりと顔を見せる6月中旬。
 なので、気温は調度良かった。
 それに合わさった誰も居ない空間は、とても過ごしやすかった。

 窓際の一番後ろの自分の席に着くと、鞄から本を取り出す。これも日常。

 こんな、つまらない日々を繰り返して、何になるのだろう