校門の方に見えたのは、私の父、東雲 司だった。そして、その隣には…
 知らない男の子が居た。
 (…誰?)
 二人とも楽しそうに歩いて来ている。
 疑問が沢山あった。
 お父さん、いつ帰って来たんだろう。
 あの男の子は誰?
 どうして学校なんかに来ているの?
 …私の卒業式にも来なかったのに、何故知らない男の子とは一緒に学校に来ているの?

 疑問が、もんもんと頭の中を埋め尽くす。
 だが、私はすっと窓から視線を反らして、直ぐ様興味を無くした。
 (くだらない…)
 それほどの私への気持ちなら、そこまでだ。
 正直言ってどうでもいい。
 父の存在すら消えかけている我が家には関係のないことだった。

 「えーと、今日は6時間の全員下校ですよ。だからといって、はしゃぎすぎないように。以上!!」
 パンッと岸和田先生が手を叩くと同時に、朝のホームルームの終了のチャイムが鳴った。