「あっここから雲乃坂町になるんだ。よかった、人がいる」

私は近くの人に太部について聞いてみることにした。

「あの……太部のことについて聞きたいことがあるのですが……」

「太部!?」

太部と聞いて、周りの人が集まってきた。そんなに有名なのだろうか……

「そんなこと聞いてどうするの?まさか、そこに行くわけじゃ……」

「あっ、もう行ってきました。それでわからないことがあって」

そう言うと、周りの人たちはざわざわし始めた。

「太部から帰ってくるなんて……奇跡だ!」

「いつもは扉を閉じているのに……何かあったのかしら?」

扉?そういえばあったような……

「いつもは閉じられているのですか?」

「ええ、そうよ。簡単に出られないようになっているのよ。」

なぜそんなことを?外に出られないなんて……

「私以外に帰ってこられた人はいるのですか?」

私以外に帰ってきた人にも話を聞いてみたら、何かわかるかもしれない。

「いるんだけど……それが、何故か全員帰ってきた後は入院しているの。」

「誰にも会いたくない!って皆言っていたな。あと、足が痛いとか黒い数字とか……」

太部に来た人は皆、あの病気にかかっているんだ!でも私はかかっていない。何か他の人と違うことをしたかな?

病気のことについて考えてみたけど、何もわからない。

それより、いつも閉じられている扉が開いているということは、あのロボットのような何かがこの街に来るかもしれない。

「皆さん、できるだけ遠くに避難してください!」

「え?でも、何も起きていないわよ」

私は太部であったことを話した。すると、町の人は信じてくれた。

「太部でそんなことが……」

「確かに扉が開いていたら奴らがこの町に来てもおかしくないな」

こうして、雲乃坂町に住んでいる人は全員月百合町に避難した。