苦しそうに顔を歪めた菜摘は私に駆け寄ってきて抱きしめてくれた。




「菜摘…………っ………ふぇ……っ」



涙が一粒ポロリと溢れると止まらなくなりそうで、我慢した。



「よしよし。奈々。隆弘に思い出させたらいいんだよ。」



そう言ってニコッと微笑んだ菜摘は
隆弘の前まで行くと…………



バチン



頬を叩いた……………




「いっ。菜摘…………何すんだよ!」



隆弘は頬を抑えて菜摘をキッと睨んでいた。すごい顔で。


だけど、菜摘は構わず隆弘をただただ
睨みつけていた。



「テメェ…………。奈々がどんだけ傷ついてたか……分かってんのか!お前が
死んだと思っていたあの一年間……

奈々はずっと後悔してたんだぞ!」



菜摘は公共の場だということを忘れたように殺気に満ちた顔つきで睨んでいた。


いい親友をもったなぁ。元彼氏が叩かれていたのに私は菜摘に関心してしまった





「知るかよ、そんなこと!病院で一命をとりとめた時には自分が何をしてたか
忘れていたし、


奈々さんのことも
忘れちまってたんだから!」



胸が、何かが崩れるような音が
聞こえたような気がした。