「誰だ。」
突然後ろから低い声がした。
多分………蓮の声だ。
「別に。この寮の人に用があっただけ」
素っ気ない態度で姫華だとバレないよう
に声も低めにした。
「そうか…………ん?」
蓮は私が置いたお弁当箱に気づいて
紙を険しい顔で読んでいた。
「……………どうしたの。」
なんとなくだけど蓮の顔が悲しそうに
歪んだように見えたんだ。
「俺………は………姫華を………姫華を
傷つけたんだっ。……アイツとは
違うはずなのにっ!」
「アイツ?」
「前の金煌の姫だ…………。裏切ってた
んだけどな………。」
「そっか………。」
「俺らは取り返しのつかないことを
姫華にしたんだ!
ごめんなぁ。姫華っっ。」
最後の方の蓮の声は虚しく、震えて……
「大丈夫だよ。姫華さんも分かってくれるはず。」
蓮の気持ちはちゃんと届いてるよ。
もう、後悔なんてしないで。
前に進んで?
「いつかは直接姫華に謝るつもりなんだ
…………話を聞いてもらって悪いな」
「うぅん。全然。本当のことが聞けて
よかった。でも最後に1つだけ。」
「………なんだ?」