ゆっくりと身体の感覚が覚醒してくる。
 目覚まし時計は、アラームのスイッチを切ってもいないのに、疲れでもしたのだろうか、当の昔に止まっていた。
 「準備しなくちゃ」
 誰かに聞こえるように言ったわけではないが、言葉に出さないと挫けてしまいそうなので、私はそう言った。

 いつものこと。

 ゆっくりと、確認するように身体を動かし、布団から這い出る。
 別に動かなくなってもいいのに、今日も私の身体は正常に動いた。
 散らかり放題の部屋から、着ていく服と化粧道具を探り出す。
 服はクリーニングのビニールすら剥がしていないが、気にしない。
 乱暴にそのビニールを破り、ごみ箱なんて見つかりはしないからその場にクズを放り捨て、のろのろと部屋着を脱ぐ。