俺はあの後なんとか皐月をなだめた。


泣かせないように。


彼女が笑ってくれるなら、それだけで十分だから。


今はまだこの関係で。



「皐月!」


俺は愛しの彼女の名前を呼ぶ。


「なに?翼。」


振り返って、彼女は優しい笑顔を俺に向ける。


「あのさ…お弁当少し分けてくれない?」


これあげるからと言ってパンを差し出す。


だ、だって今日の弁当は、皐月が全部手づく…


「あ、あのね…翼の分、作ったんだ。翼お弁当あると思って、少しだけしか作ってないんだけど…」


食べてくれる?
と言って首を傾げる皐月。


……。


死ねます。

死んでもいい。


幸せです!!!!


「いつものお礼なんだけど…」


「あ、あ、あ、ありがとう!」



深く頭を下げてお礼を言う。