「瀬野尾、どうした?」

「せんぱ…い……あ…たまいたい…」

涙がぽろぽろと零れて、雨の雫と一緒になって私の頬を伝っていく。

秋安先輩は傘を傾けてくれているけど、もともと濡れていた私はどうしようもないくらいびしょびしょだった。
傘の布がバタバタと音をたててはためく。


「タクシーには乗車拒否されそうだな…どうしたもんか…」

先輩のその言葉を境に、記憶が途切れた。