傘は途中から折れていた。 さしてもささなくても濡れるんだから、強い風の中使おうとしなければよかった。 …結構、お気に入りだったのに。 頭痛はどんどん強まっていく。 ごうごうという音は、雨の音?風の音? あまりの辛さに、その場にしゃがみかけたときだった。 「瀬野尾(セノオ)?――おい、大丈夫か、おい。」 私の背中に、あたたかで大きな手がのった。