「あのね、私、言ったんだ。
夏樹くんに、好きです、って」
ガツン と頭を殴られたような衝撃が走った。
薄々気づいていたことだった。
ほとんど確信していたことだった。
けれどそれを改めて優歌さんの口から言われると、すごく辛くて。
「そっか」
ぼくはそれだけしか言えなかった。
これ以上何かを話したら、
ぼくが優歌さんのことを好きだということとか、
ぼくの醜い嫉妬だとか、
そういうことを露呈してしまうと思ったから。
嫌だけど、夏樹君と優歌さんが付き合うことになったのなら、「おめでとう」と微笑んで祝福しなければ。
ぼくは優歌さんの友人、なのだから。
どれだけぼくが辛い思いをしても、優歌さんが微笑んでくれるのなら。
ぼくは、何だってするから。
そう心に決めて拳を握っていると、「だめだったの」という予想外の言葉が返ってきた。
握っていた拳の力がフッと抜ける。
「…え?」