‐時間:19:06 場所:宮本診療所 2階 宮本の自室

「媚薬って……お前……っ!!」

俺は宮本の服を乱暴につかんで睨んだ。

「分かってる!!」

そう大声で叫ぶと、理由という名の言い訳を始めた。

「確かに悪いことだって事は十分に分かってたし、医療に関する者として最低なのは分かってる……。でも……この部屋を見て分かるだろ!?やってみたくもなるだろ!?」

「趣味と仕事をゴッチャにしてんじゃねぇっての!!つーか分かりたくもねぇよ!!」

「男だったら少しは分かってよ!!インターネットでチョチョイってやればこんな薬はアホみたいに出てくる時代だろ!?そりゃ自分だって作りたくなるじゃん!!」

「ならねぇよ普通!!だいたいテメェは男目当てだろうが!!俺はホモじゃねぇ!!」

「俺は……ホモだよ!!この際もう逃げも隠れもしないよ!キショいホモ野郎だよ!!悪いか!!」

「俺にとってはメチャクチャ悪いわぁぁ!!」

こんな言い争いを数分続けていると。

「はぁっ……はぁっ……暑っ……クソっ…マジでテメェふざけんなよ。」

俺は薬のせいか、口喧嘩のせいか、力尽きて床に座り込んでしまった。汗も滴り落ち、なんとなく頭がボーっとしてる。

「あ……だいじょう……ぶ?」

ハッとしたように宮本がこちらを見る。

「これは……大丈夫って言っていいのか……クソ暑いし汗は止まんねぇし……わけ……分かんねぇ……。」

「……とりあえずさ、ここ掛けてよ。床じゃ嫌でしょ?」

宮本はベッドに腰掛けるように進める。確かに、こんな物が散乱した床に座っているよりはマシだと思い、ベッドに腰掛けた。俺は頭を抱え、心拍数を落ち着かせようとした。しかし。

「……ダメだっ……全然……っ。」

声に息が混じり、体全体に熱が溢れ、頭には普段なら考えない事がよぎる。いっそ、身を委ねてしまった方が楽なのでは?と。

「九条君……?ほんとに……大丈夫なのかい?……色々……辛そうだよ?」

《※この先が気になる方は、(支配を解く手段 不幸編)をご覧ください。》

‐5/31 天候:雨 時間:11:34 場所:九条宅

ピリリリリ……

携帯電話の音が鳴る。

「……んっ……ぁあぁ………うるせっ……。」

九条 牙、起床。昨晩は……思い出したくないほど最悪な夜だった。身体の節々の痛みを気にしながら、電話に出た。

「っあぃ……九条だ………悪ぃ……今日は無理だわ………。」

仕事場からの電話である。出勤時間になっても来ない俺を心配してくれた部下が連絡してくれた。そして、部下の連絡内容に驚いた。

『ついさっき、白川と言う女性が至急来て欲しいとの事です!』

「あ?そりゃどうゆう意味だ。」

『それが……よく分からないのですが、警戒レベル4、1-5、②と言う連絡でして!』

「……マジかよっ!!おい!!俺は別の理由で仕事休むぞ!!しばらく開けるからな!!」

プツッ……

俺は大急ぎで支度をし、部隊の本部へと向かった。

とんでもないトラブルが起きていた。