‐5/30 天候:雨 時間:18:23
場所:なんでも屋 九条 近辺の居酒屋 2階

ざわざわ……

「……と言うことで、乾杯っ!!」

『かんぱ〜いっ!!』

音頭をとるのは、リッサだ。敵を潰したお疲れパーティーのような感じだ。ついでに、俺の退院を祝ってくれるらしい。

「ついでに、きーさんも退院おめでとうね。」

「ついでかいw。まぁ別にいいけどよ。」

「ほらほらー飲んで飲んでー。盛り上がろー。」

既にほろ酔い気味のレッドが言う。

「退院したばっかなのに酒は流石にダメだろうよ。遠慮しとくわ。」

「ええ〜?ノリ悪いなー。じゃあ薬飲んで寝ちまえ〜!」

バッ!!

そう言うとレッドは、俺に怪しげな小瓶を突き出してきた。無理やり飲ませようと乗りかかり、いわゆる床ドン状態になった。

「うわっ!てめぇが飲めコラ╬どうせまた変な薬なんだろっ!」

レッドともみくちゃになりながら、部屋の角にぶつかり、レッドが小瓶を落とした。

「あーあ。勿体無いことするなーもう……。せっかくみやから貰った貴重な薬なのに〜……。」

「そうだよ〜全く〜。ノリ悪いよ〜?」

いつの間にか、宮本の近くに来ていた。

「変な薬はお断りだっての!病み上がりになんてもの飲ませようととしてんだよ!飲んだらどうなるかも分かんねぇだろ!!」

「え〜?飲んだら〜?……なんか……フワーってなる感じぃ?気持ち良くなるやつぅ〜?」

そう言うとレッドは俺から降りて薬の小瓶を拾った。

「あー勿体無い。せっかくくれたのにー。ねぇみや?」

「全くだよー。人の真心ってもんを分かって無いねぇー。」

チラチラとこちらのことを見ながら大声で話すレッドと宮本は、もう完全に酔っている。

「酔っ払いの戯言は聞かねぇよ。」

「酔ってにゃいやい!」

レッドはそういうと、小瓶をこっちに向かって投げてきた。運悪く、その小瓶の中身はぶちまけられ、俺の顔にかかった。

「うわっっ!……てめぇ、ふざけんなよっ!」

そういうと、俺はレッドに向かってくすぐり攻撃をした。笑い転げるレッドは見物だった。

「観念したかっ!したかっ!?」

「ゴメンゴメンゴメンっ!!もうしないからぁっ!!はっはっはっ!!」

転げ回って疲れきったレッドは、俺がくすぐるのを止めた10秒後に夢の世界へと旅立った。

「はぁ……結局、この中身はなんだよ。なんか……甘いしベトベトするんだが……。」

顔にかかった時に、一緒に口にも入ってしまった。そのかかったものはシロップの様に甘く、少し粘り気のある液体だった。それと、暴れたせいか少し暑い。

「えっ!?飲んじゃったの!?」

宮本が青ざめた顔で言う。俺はこの薬がなんなのかを聞いたが、誤魔化すばかりで答えてくれなかった。

「ほらほら!九条君は退院したばっかだし!もう帰って休んだらどうだい?今!」

「はぁ!?今!?来たばっかだぞ?この薬はなんの薬なんだよ!なんか危ねぇ薬だったら承知しねぇぞ!?」

しきりに帰ることを進める宮本はとても怪しかった。

「いやっ……あの……それは……危ないワケじゃないんだけどさ……。」

宮本の目は泳ぎまくっている。怪しい。とても。