‐5/16 天候:晴れ 時間:10:23
場所:政府治療施設内の一室

ドクン……ドクン……

自分の心臓の鼓動が聞こえる。俺は……なんとか生きているようだ。

「……っ…………んっ……?」

俺は目を覚ました。ゆっくりと目を開き、部屋の天井をボーっと見つめた。

「……ここは……?」

首だけで辺りを見回した。右を見ると、出入り口らしきものが、左を見ると、もう1つベッドがありそのベッドの備え付けの机には、食べかけのお菓子とノートパソコンとヘッドホンが置いてあった。

「……レッド……?」

俺は、いるのを確かめるように呟いた。しかし、返事がない。

「誰も……いないのか。」

周りを見渡そうと体を起き上がらせようとすると、

「痛っ───……あぁっ……っ……!」

体中電気が走ったように、ズキズキと痛みが体を駆け抜けた。自分の体をよく見てみると、包帯だらけだった。

「……ミイラみてぇ……。」

手、足、胴体、頭、包帯を巻かれていないところは無いのではないかと思い、俺はベッドの上で1人で軽く笑った。その時、

ガララッ……!

部屋の出入り口の引き戸が勢い良く空いた。

「ねぇねぇ!今度俺ん家おいでよ!君ともっと話したいことが沢山あるんだ!」

「もーww。みやが言うと変態チックなんだよなーww。」

「ひどいなーwwし……の……。」

「みや?どーし……た……?」

ドライブとレッドが、俺を見て固まった。

「……久しぶりだな……2人とも。」

「……ジョー君っ……!」

「……九条君っ……!」

2人はそう言うと、俺のベッドに駆け寄り、

「ジョー君が起きたぁ!!死んで無かった!!」

「もうダメかと思ったよ!九条君っ!本当に良かった!!」

喜びを爆発させた。

「おい、おめぇらうるせぇなww。騒ぐなよww。」

「俺、皆に知らせてくるよっ!九条君の目が覚めたって!」

ドライブはそう言うと部屋のドアを勢い良く開け、行ってしまった。

「……忙しいやつだな。……レッド、俺の隣はお前だろ?」

「あ、バレた?」

俺は、やっぱりな。と、ため息をついた。

「こんな片付けられてねぇ机はお前くらいだろ。」

「えへへ☆だって出来ないんだもんっ。」

レッドは左手を頭にコツンッとやり、おちゃめポーズをした。そして、

「……ジョー君……。」

声のトーンを変え、俺に言った。

「……お帰りなさい。九条 牙。」

スッキリした笑顔で告げた。レッドは左手を差し出し、俺に握手を求めた。

「……あぁ……ただいま。」

俺は右手を上げ、レッドの指先に触れて手をおろした。

「悪いな。痛くてこれ以上あげらんねぇ。握手は勘弁な。」

「えぇー?痛いのー?じゃあちょっと今日だけは俺、積極的になっちゃおうかなー?」

レッドは笑みを浮かべ、さっきとは違う、悪戯な笑みで言った。

「流石に今回はやめろよ?俺死にかけたし。」

「んー……今回は体はやめとこうかなー?」

ふふふっとレッドが笑った。レッドの悪戯な笑みに俺は背筋が凍りついた。