‐時間22:00

「この組織に……裏切り者が?」

リッサは、真剣な顔で俺の話を聞いた。

「それってさー。キノコの情報じゃないのー?あの時は、ちょっとマジかなーって思ったけどさー、ありえなくない?一応この組織政府直属の組織だよー?」

「……先生が自殺する直前に、俺に言ったんだ。『お前ら、裏切られてるぞ。』ってな。とても嘘とは思えない。……あとそれと。ドライブ、いい加減腰を撫で回すのはやめろ。もう1人で立てるから。離せ。」

「ええっ!?……いやっ……そうゆう訳じゃなくてねっ?うんっ……はい……。」

ドライブはひどく落ち込んだ。

「……ビースト。このジャケットは、あなたのでしょ?ありがとう。」

リッサが俺のジャケットを手渡した。

「あぁ……。」

ジャケットを受け取ったが、俺は軍服男の顔にそのジャケットをそっとかけた。

「……最後の最後まで、俺らを殺さなかった。こんな死に方……先生には似合わねぇ。」

「……そうね。」

リッサと俺は、軍服男をしばらく見つめていた。

「感傷に浸ってるところ悪いんだけどさー。舞台の上でずっと見てる奴は始末しなくてもいいのー?あと、裏切り者探しとかさー。」

レッドがまともなことを言う。かなり珍しい。

「……あそこに座っているのは……死体よ。」

「……えっ!?……ってことは……俺たち以外の誰かが……。」

ドライブは驚く。俺も驚いた。まさか既に死んでいるとは思いもしなかった。するとそこに、

「皆さーん!無事ですかー!?そこでなにをしてるのですー!?」

シールドがこちらに向かって走って来た。息を荒げ、肩で息をしている。

「はぁっ……はぁっ……こっ……こいつがボスですかっ!?」

シールドが軍服男の死体を見て言う。

「違うよ。あそこの舞台の上で死んでるのが、おそらくボス。つーかさー。今まで何してたの?遅いよデブ。」

「ひどいっすよぉ!!」

「まぁレッド。こいつは新人なんだろ?許してやれや。」

ビーストさんっ……!!と、シールドは感激している。

「この学校から出るわよ。行きましょう。」

リッサや精鋭部隊が進もうとした。そしてレッドの一言で、進むのをやめた。

「ところでシールド、なんでハンドガン両手に持ってんの?」

「あぁ、これはですね……。」

パパーンッ……

銃声が響いた。俺は胸のあたりに強烈な痛みを感じた。眩む視界の中で、レッドが倒れるのが見えた。

「お2人を撃つためですよ。」

ドサドサッ……

「ぐ……あぁ……っ!!」

俺ら2人は同時に仰向けに倒れ込んだ。レッドは右肩を抑え、苦しげな声を出している。俺は声すらも出ず、自分の心臓の鼓動が頭に大きく響きわたる。

「っ………が…ぁ……っ……!」

声を出そうとすると、ズキンズキンと胸が痛む。心音は鐘を打つように大きく、深く響いた。

「っ……貴様ぁあぁああぁっ!!!」

リッサが叫び、ハンドガンをシールドに構えた。

「……任務……完了。」

シールドはそう言葉を残し、

パンパンパンッ……!!

リッサに撃たれた。シールドは満足そうな顔で、床に倒れた。

「っ!!……九条っ!!」

「しのっ!!九条君っ!!」

リッサとドライブは叫び、2人は俺らのところに駆け寄った。俺は肩で息をし、激痛に苦しんだ。レッドもおなじだ。

「……っ……ジョー君っ!……。」

右肩を抑え、俺の近くにすり寄って来る。

「あ……あ…………く……九条さんっ……。」

みかちゃんは俺の近くでペタリと座り込み、半泣きになりながら俺の名前を呼んだ。

「……はっ………はっ………ぁ………っ……。」

俺は自分の心臓の鼓動が、少しずつ弱くなっていくのを感じた。

まぶたが少しずつ重くなる。

息が少しずつ詰まっていく。

あぁ……俺は、死ぬんだ。