‐時間:21:25

少し奥に進むと、1人の男が立っていた。威圧感が今までの敵とは違う。軍服姿が良く似合うその男は、俺たち3人には馴染みのある人物だった。

「……3人ともよく来たな。」

その一言で、俺ら全員は凍りついた。

「……三日月、教室に避難しろ。」

「っ……俺が守りますっ!」

シールドがそう言い、みかちゃんを教室へと連れていった。

「皆さん気を付けてっ!!」

みかちゃんの言葉は廊下によく響いた。

「……俺の授業に、ようこそ。」

軍服男は素早く両脇から、ハンドガンを2丁取り出した。標的はリッサだ。

バンバンバンッ……!

銃声が響きわたる。俺たち3人は同時に動いた。まずレッドが、軍服男に小型ナイフを3本投げた。だが男はハンドガンでナイフをことごとく払った。

「……死ねっ……!」

すかさずレッドは、男に向ってナイフを振りおろした。

バキィッ……!

「くっ……!」

「篠原ぁ……お前は武器に頼りすぎだ。」

ナイフをハンドガンで受け止めた。男は、レッドのナイフを腕ごと払い、レッドの顎を蹴り上げた。

「ぐあっ……!!」

レッドは後ろへ吹っ飛ばされた。

「きゃっ!!」

「いっ……てぇ……!」

レッドはリッサと衝突した。

「チッ……!」

俺は男に左ストレートをくりだした。だがよけられた。右フック、右ローキック、回し蹴り、どの攻撃もよけられた。そして、右ストレートをくりだしたが、

バチィッ……

「ぐっ……!」

受け止められた。その瞬間、

バキッ……ドゴッ……!

「がっ……は…ぁ……っ!!」

右肩を殴られ、左膝が俺の腹に入った。

「さっきから右肩をかばっているな?……九条、もう少し隠すなら上手く隠せ。バレバレだぞ?」

俺は膝から崩れ落ちた。右肩の痛みもひどいが、蹴られた腹に鈍く激しい痛みの方がひどかった。

「ゴホッ………ゲホッ…っ………はぁっ…はぁ……ちっ…くしょうっ……!!」

俺の背後からリッサが飛び出してきた。ハンドガンを撃ちまくっている。しかし、

「……不意を突いたつもりだろうが、バレバレだな。」

ドガッ……!

男はそう言い、リッサの頬を殴った。

「あぐっ……!!」

「白川ぁ?もう少し射撃を練習しろ。銃の動きが短調すぎるぞ?」

男はかすり傷もついていない。

「チッ!……やばいわね。」

リッサがそう呟く。その瞬間、一発の銃声が響きわたる。

ターンッ……

「ぐっ……!?」

男はよろけた。左肩に命中した。

「……素晴らしいな、白川の部下は。」

俺は、何が起こっているのかさっぱり分からなかった。俺の背後から、2つの影が男に向かっていった。

「もぅ、レディーを殴るなんて最低な野郎だな。」

セミロングでマリンヘアの黒縁メガネの男がそう言う。

「……外しちゃったか。」

ストレートヘアで赤黒縁メガネの女が、遠距離型ライフルを抱えて呟く。

「チッ……精鋭部隊の到着か。……仕方ねぇな、こいつは使いたく無かったんだが……。」

男はそう言うと、胸ポケットの上を叩いた。

ズンッ……!!

爆発音が聞こえ、また床が抜け落ちた。

「うわっと!!」

「……チッ……。」

精鋭部隊の2人は素早くよけた。

「……また会おうじゃないか。……次の授業で待ってるぞ。」

男はそう言い残し、廊下の奥へと走り去ってしまった。