みかちゃんは黙って頭の傷にガーゼを貼った。

「いっ…た………しみるっ……。」

「ご……ごめんなさいっ!」

レッドは、この光景をニヤニヤしながら見ているだろう。マスク越しでも分かるほど。

「んー。女子達からモテモテだねー。」

「っ……うっせぇなレッド。大体てめぇもっ……!」

言いかけた時に、リッサが右肩のシャツをはがした。服と傷が擦れて、ズキズキと痛んだ。声をあげてしまうくらいに。

「ぐっ…ぁ…!………痛っ───っ……。」

「……傷口が化膿し始めているじゃない。痛いはずだわ。みかちゃん、消毒出来るものある?」

「はっはいっ!」

みかちゃんがリッサに消毒液を渡すと、リッサが消毒液を傷口に容赦なくかけた。

「がぁっっ!…っ………リッサっ……ちょっとは……忠告してくれよっ……!」

「いちいち忠告しなくても、あなた男でしょ?我慢しなさい。」

リッサがそう言うと、ガーゼを当て、包帯を巻いてくれた。その後、みかちゃんとリッサで、左腕と右手も手際よく手当てしてくれた。

「あとは腿ね。ビースト、ズボンおろしなさい。」

「……はぁ!?おまっ……言ってる意味分かってんのか!?」

その発言に、レッドは笑い転げていた。

「はっはっはっ!!ひ~!お腹痛いっ!!しっ……集団セクハラっ……ははっ!」

「なっ///……うっせぇレッド!!死ねっ!!」

俺は顔を真っ赤にし、レッドを罵倒した。

「もう、子供なんだから。さっさとしなさいよ。」

そう言うとリッサは、俺のズボンに手をかけた。俺は驚いて変な声を出してしまった。

「ほあっ!!?おいリッサ!自分でやるから!!自分で出来るからっ!!」

「……なに恥ずかしがってんの?男でしょ?」

「男でも恥じらいはあるっつーの!!男だからってなんでも許されると思うなっ!!」

俺は必死にズボンをおろされないように抵抗した。だがしかし、リッサには勝てなかった。

ズルッ……

「痛っ……ぁ……!!……このっ……鬼っ……!」

ズボンと傷口が擦れて痛んだ。リッサのことを鬼と呼び、後悔したのは言うまでもない。

「鬼……ですって?……そんなに手当てされるのが嫌なのかしら?こっちは善意でやってあげてるのに。」

「あ……あ……ごっ……ごめっ……。」

俺は血の気が一気に引いていくのを感じた。

「りっ……リッサさんっ!怒らないで……。」

みかちゃんが止めに入ってくれた。みかちゃんありがとうございますっ!と、俺が心からみかちゃんに感謝した瞬間であった。

「それよりビーストー。パンツ丸見えだよー。」

「んなっ///……そうゆうことはいちいち言わなくていいんだよっ!黙れっ!! 」

「あっははっ!りょーかーいっww。」

そんな会話に耳も貸さず、リッサは腿にも容赦なく消毒液をぶっかけた。

「んあっ…っ……ぐ……!…だからっ……一言……言えってのっ……!!」

俺は痛みに喘いだ。リッサは黙ってガーゼを当て包帯を巻き、俺のズボンを途中まで上げた。

「終わったわよ。」

そう言い、教室の外へとスタスタ行ってしまった。

「リッサさんっ!待ってくださいっ!!」

パタパタとみかちゃんがリッサの後を追いかけて行った。

「……ちゃんとリッサも女の子なんだから、優しくしてあげなよー?このモテ男ーww。」

「……てめぇには言われたくねぇ。」

この戦闘のあと、俺はリッサから一発のパンチをくらう。まだそのことを、俺が知るよしもないが……。