アハハハッ
砂浜で遊ぶ男の子と女の子

「ゆあちゃん!おてていれて!」
「こう?」

砂山の中で二人の小さい手が繋がる

「あ!しょうくんのおててだ!」
「やった!せいこうしたよ!」
「わーい!」


「そろそろかえらなきゃ!おかあさんにおこられちゃう!」
「そうだね…かえろうか!」

女の子は家へと歩き出す

「まって!ゆあちゃん!」
「ん?どうしたの?」
「じつはね、ぼく、ゆあちゃんとばいばいなんだ」
「え?ばいばいだよ!だってもうくらくなっちゃう!」
「そうじゃなくて!」

男の子はズボンをぎゅっと握り締めて

「ゆあちゃんともうあえないんだ。はなればなれになっちゃうの。きょうでもうばいばいしなきゃいけないんだ」

「え…」

女の子の目から一筋の涙が頬を伝う

「おとーさんのおしごとでね、おひっこしするんだって。きょうはねほんとうはゆあちゃんにばいばいするためにあいに…きたんだ」

男の子の目からも涙が頬を伝った

「そんな…やだよ!ゆあ、しょうくんとはなれるのやだ!」
「ぼくもやだよ!でもしかたないんだって」

女の子はうずくまって泣き出した

男の子は涙を拭ってから女の子に近づいた
「じゃあやくそくしよ!」
「やくそく?」
「うん!10ねんごにまたあおう!」
「10ねんご?長いよ!グスッ」
「だいじょうぶだよ!あっというまだよ!だからまたあえるひまでがんばろう!」
「しょうくん…グスッ」
「ぼくもがんばるからゆあちゃんもがんばろう?」
「うん!がんばる!」

男の子が手を差し出した
差し出したその手には
「はい!これあげる!」
「わーい!よつばのクローバーだー!」
「ゆあちゃんだってわかるようにもってて!」
「うん!だいじにする!」

女の子の手に握りしめられた四葉のクローバーのストラップ