氷夜の手が、あたしの額にそっと触れた。
 
 
「‥‥‥‥。」
 
 
あたしは驚きで口を開けたまま、まるで凍った様に固まった。
 
 
「‥熱は無いみたいだな。」
 
ほっとした様に氷夜が微笑んだ。
 
 
 
‥‥そんなの反則だよ。
 
そんな風に微笑まれたら、あたし‥。
 
 
「どうかしたか?」
 
 
氷夜の顔が、あたしのすぐ目の前にあった。
 
 
「‥‥!何でもない!!」
 
 
 
意識しすぎだし、あたし!
絶対変だと思われてる‥!
 
 
大体、流雨があんなこと言うから‥‥。
 
そうだよ!
流雨がいきなり変なこと言い出したから‥!
 
 
 
「‥‥もう気にしないことにしよう。」
 
あたしは小さく呟いた。