「‥‥!?」
 
不意にあたしの体を、暖かいものが包んだ。
 
 
「‥寒いんなら、それ着てろ。
風邪でもひいたらあれだろ。」
 
 
あたしの体を包んだのは、氷夜の上着だった。
 
 
「でも‥それじゃあ氷夜が風邪ひ‥‥」
 
「俺は大丈夫だ。」
 
 
あたしの言葉を遮って、氷夜は言う。
 
 
でも、氷夜寒そう。
本当に風邪ひいちゃいそうだよ‥。
 
 
 
「ダメだよ!あたしの方こそ大丈夫だ‥‥」
 
「俺が良いって言ったら良いんだ!
お前は黙ってそれ着てろ!」
 
 
氷夜の顔が、いつもより少し赤かった。
 
‥照れ隠しなのは分かってるけど、怒らなくても良いのに。
 
 
 
「‥ありがと。」
 
 
あたしはそれ以上、何も言わなかった。