「ちょっと氷夜!
 
あんたのせいで、せっかくの感動のシーンが台無しよ!!」
 
 
氷夜はとっさにあたしを離した。
 
 
「わ‥悪い。」
 
そう言った氷夜の顔は真っ赤だった。
 
 
 
「氷夜ばっか、おいしい役回りでずるいぞ!」
 
 
龍が悔しそうに言った。
 
 
「龍はどんな役でも、かっこ悪いだけですよ。」
 
 
‥‥芽夢、毒舌。
 
 
 
「氷夜‥、さっきあたしのこと、ちゃんと名前で呼んでくれたよね?」
 
 
初めて、氷夜があたしを魅夜って呼んだ‥‥。
 
 
あたしは、それがなぜか無性に嬉しかった。
 
 
 
「‥忘れた!」
 
氷夜はそっけなくそう言った。