「‥流雨さん、ここのお店は何時に開店だったか覚えてますか?」
 
 
「‥‥そうねぇ‥たしか、九時か十時だったと思‥‥」
 
「氷夜、今何時だ?」
 
龍は流雨が話し終わる前にそう言った。
 
 
 
「‥‥十‥二時三十二分。」
 
 
氷夜の言葉でその場に沈黙が訪れた。
 
 
そして、その沈黙を破ったのはあたし。
 
 
 
「‥ねぇ、あたしたち‥‥
 
完ぺき割引券もらうの無理だと思うんだけど。」
 
 
‥‥十時に開店したとしても、軽く二時間は経っている。
 
 
 
「‥‥あははははははは‥。」
 
 
流雨がごまかすように笑った。
 
 
「‥流雨、てめぇ‥‥。」
 
「‥流雨さん‥‥。」
 
 
そう言った声がとてつもなく怖かった。
 
 
 
「‥もう、怖いなぁー‥‥。
 
細かいことは気にしなーい‥‥。」