氷夜はまたすたすたと進んで行き、やがて一つのお墓の前で立ち止まった。
 
 
 
「‥このお墓って‥‥。」
 
 
「俺の親の墓だ。」
 
 
「‥親ってお母さん?」
 
 
氷夜は静かに、小さく首を振る。
 
 
 
‥氷夜のお父さんのお墓。
 
「そうなんだ。」
 
 
 
「‥あの人は、俺が十四歳の時に死んだ。」
 
 
十四歳って‥
中学二年生くらいだよね‥‥。
 
 
 
「病気‥?」
 
 
 
あたしは何を言った方が良いのかわからず、とりあえずそれだけ聞いた。
 
 
 
 
 
「‥いや‥‥。」
 
 
苦しそうに目を瞑ると、そのまま言葉を続けた。
 
 
 
 
「俺の母親が殺した。」