「ちょっと‥‥離して!」
 
あたしは必死に抵抗してみるものの、全然敵わない。
 
 
「いいから、お前は黙ってついてこい!」
 
 
 
‥ついてこいって‥‥。
 
ついて行くもなにも、強制的に連れられてるんですけど‥‥。
 
 
 
「‥どこに行くのかくらい教えなさいよ!」
 
 
あたしは声を張り上げた。
 
 
「俺の仲間のところ。」
 
 
 
‥仲間って‥‥。
 
まさかあたし‥騙されてる?
 
 
このまま連れられて行って、お金とかとられたりするんじゃ‥‥。
 
 
 
「‥ついたぞ。ここだ。」
 
 
その人はそう言うと、立ち止まった。
 
あたしの目の前には、きれいで上品な小さい建物があった。
 
 
 
「俺だ、入るぞー。」
 
 
それだけ言うと、男はドアを開いた。
 
 
ガチャッ。