私は激しい雨が降る中、できる限り早く車を走らせた。


もしかしたら、百合子の身に何かあったのではないか？


そんな不安が私の心にずしりとのしかかって、消え去ろうとはしなかった。


私に迫る悪霊たちは私の夢の中だけでは飽きたらず、現実の世界にまで足を踏み込んで来ている。


〈 お母さん、私、公園で顔中に包帯を巻いた女の人を見たの 〉


百合子は私にそう言っていた。


私は、百合子のその話をあまり気にとめなかった。


でも私は、今そのことを深く後悔していた。


私は百合子に強く言うべきだった。


その女の人には、決して近づいてはいけないって……。