私は、テレビの前に立ち悪霊と向き合った。


悪霊は、悪意に満ちた目でじっと私を睨んでいる。


『憎しみは消えない……』


私は、浄化の塩を握りしめた。


『私は、お前から大切なものを……』


「消え去れ、悪霊!」


私は、握りしめた浄化の塩を力いっぱいテレビの画面に投げつけた。


すると、テレビに映し出されていた野沢恵子の生首が、しだいにぼやけていき、やがてすべてが消え去った。


私はホッとして息を吐くと、自分の体中が汗でびっしょりになっていることに気づいた。


そして、私がふと窓に目をやると、そこには窓に映る憔悴しきった自分の姿と窓の外の激しい雨。


〈 百合子を探さなきゃ 〉


私は、激しい雨を見つめながら思った。


〈 百合子はきっと、トラブルに巻き込まれている 〉