「ええ、私、あなたの顔を見てみたいわ」


百合子は、そう言った。


もしかしたら、その言葉は、口にしてはいけない言葉だったのかもしれなかった。


開けてはいけない、小さな箱を開けてしまったとき、もう、後戻りはできなくなる。


顔中に包帯を巻いた女の人は、百合子を見下ろし、またあの低い声で言った。


『わかったわ……。

それじゃ……、私の顔を……、あなたに……、見せてあげる……』


女の人はそう言うと、自分の顔に巻かれた包帯をゆっくりと取り始めた。