足早に歩いていた百合子だったが、帰宅途中の公園で百合子は歩くのを止めた。


百合子が公園の方に目をやると,そこには白いレインコートを着たあの女性が立っていた。


〈 あっ、顔中に包帯を巻いた女の人 〉


百合子の胸は、ひとりでに高鳴った。


最近、ずっと気にしていたあの女の人。


あの女の人は、いったい誰で、どんな人なのだろう。


百合子は歩くことを忘れ、公園の中で、一人、ぽつりと立っている顔中に包帯を巻いた女の人をじっと見つめた。


茶髪のショートカット、白いレインコート。


なぜあの女の人は、いつも白いレインコートを着ているのだろう?


百合子がそんなことを考えながら、顔中に包帯を巻いた女の人を見ていると、今までピクリとも動かなかったあの女の人が、ゆっくりと体を百合子の方へ向けた。


百合子はその場から動くこともできず、体を固くした。


〈 いけない!

私、あの女の人と目が合ってしまった…… 〉


百合子の心臓はいつの間にか、ドキドキと大きな音を立て始めていた。