「百合子、大人を全員信じちゃ駄目だぞ。

大人にも、いい大人と悪い大人がいるからね」


「お父さん、それじゃ、あの顔中に包帯をしている女の人は、悪い大人なの?」


「そうとは限らないけど、自分から近寄っては駄目だよ」


「でもね、お父さん。

クラスの子たちの話だと、その女の人、いつも一人でさみしそうにしてるみたいなのよ」


「百合ちゃん、お父さんの言うことは、ちゃんと聞かないと駄目よ」


私は、百合子に目を向けた。


「それで百合ちゃん、その女の人って、他に特徴はあったの?」


百合子は下を向き、しばらく考えたあと、私に言った。


「えっとね、その女の人は、茶髪のショートカットで、白いレインコートを着ているの」