私は、声を上げて泣いている過去の自分を抱きしめながら、自分の気持ちは昔からずっと同じ方向を向いていたことに、改めて気づいた。


私が長い間、ずっと願い続けた唯一のこと。


それは、このみじめで、かわいそうな女の子を幸せにしてあげること。


いつも欲しいものをあきらめ、泣いてばかりいたこの女の子に、私は魔法をかけて夢を見させてあげたかった。


私が犯した罪は、たくさんの人たちに不幸せを撒き散らしたが、やっぱり私は、この子と同じように、自分がしてきたことに後悔はなかった。


私はいつも、自分以外の誰かになりたかった。


みじめで、かわいそうな寺田小夜子から、私は抜け出すことだけを考えていた。


私は、父が憎かった。


私は、母のようになりたくなかった。


私は、あのみじめな女の子に魔法をかけて、彼女の両親とは違った素敵な未来を彼女に与えたかった。