私は、みんなに真実を告げようと思った。


私が犯した愚かな罪を洗いざらいみんなに話して、心からみんなに謝ろうと思った。


みんなは私を蔑むかもしれない。


みんなは私を憎むかもしれない。


みんなは、私のような人殺しに、関わりたくないと思うのかもしれない。


でも私は、真実をみんなに告げたかった。


私が大きな罪を犯してまでも、手に入れたかったものを知ってもらいたかった。


寺田小夜子という哀れな女が、たとえそれが間違った生き方だったとしても、自分なりに真剣に生きていたことに気づいてもらいたかった。


〈 行かなくちゃ…… 〉


私は、止まらない涙を拭いながらそう思った。


〈 私はもう一度、自分の大切な人のところへ…… 〉


私がそう思って、屋上から引き返そうとしたそのとき、誰かが私の背中を勢いよく押した。


そして私は、次の瞬間、自分に何が起きたかもわからないまま、屋上の手すりを乗り越え、足場のない暗闇に投げ出された。