私はシャワーで武士の血をきれいに洗い流し、服を着ると、香川総合病院に行くために、車に乗った。


母が死に、武士が死んでしまった今、私の大切な家族は百合子しかいなくなった。


私はもう、生きていても仕方がないと、世の中に絶望していたが、それでも私は、百合子が無事であることを最後にたしかめたかった。


私が死んだとしても、せめて百合子だけは幸せになって欲しい。


私はもう、荒れてメチャクチャになり、武士の遺体が横たわるあの家に、戻るつもりはなかった。


私にとって、幸せの象徴であったはずのあの家は、苦い記憶が残る場所となってしまった。


私はあの家で、誰よりも幸せになれるはずだったのに……。


私がそんなことを思ったとき、私の瞳から、次から次へと、大粒の涙がこぼれ落ちてきて止まらなかった。


どうして私は、自分の願い通りに生きられなかったのだろう?