果物ナイフを立川早苗の悪霊に突き刺したとき、私の両手に今までにはない衝撃が伝わってきた。


私はそのことに興奮を覚え、果物ナイフを握る両手に力を込めた。


〈 刺さった…… 〉


私は、両手に伝わってくる確かな感触でそう思った。


〈 ついに私はやったんだ!

ついに私は、果物ナイフを悪霊に突き刺した! 〉


醜い傷だらけの顔をした立川早苗の悪霊が、低い呻き声を上げて、苦痛に顔を歪めた。


私はそのことに、歓喜の笑みを浮かべ、立川早苗にとどめをさすために、もう一度、果物ナイフを立川早苗の胸に突き刺した。


すると、立川早苗の悪霊は、力尽きたかのように前のめりに倒れ、玄関先の廊下にうつぶせに倒れた。