〈 あなたの大切なものは、すべて奪う! 〉


私の頭の中に、直接語りかけてくるように、そんな言葉が聞こえてきた。


〈 あなたは、絶望を味わい、命を落とす 〉


私は、果物ナイフを胸の前に構え、不気味に微笑んでいる立川早苗の悪霊に近づいていった。


〈 あなたはきっと気づくはず。

自分の愚かさに!

自分の傲慢さに! 〉


私は、悪霊の言葉に耳を貸すつもりはなかった。


早く終わりにしなくてはいけない。


百合子のために、そして武士のために……。


〈 すべてを失ったときに、あなたは気づくのよ! 〉


私は、立川早苗の悪霊に近づくと、小走りで、立川早苗の悪霊に突っ込み、その胸に果物ナイフを突き刺した。