私はリビングを出て、果物ナイフを握りしめながら、二階へ行くために階段を上り始めた。


私の大切な家。


私たち家族が安らぐ場所。


私が階段を上っていく間も、二階からは、ものが倒れたり、ガラスが割れる音が聞こえてくる。


〈 いつまでこの家にいるつもりなの?

早くいなくなれ! 〉


私は、抑えきれないほどの怒りを感じながら、一気に階段を駆け上がった。


そして私は、ドアが開きっぱなしになった百合子の部屋を階段の最上段から見たとき、その惨状に言葉を失った。