百合子は、迫りくる恐怖に怯えながら廊下を走った。


明かりの消えた廊下は暗かったが、百合子にはそんなことを気にする余裕もなかった。


早く逃げなくては、悪霊が追ってくる。


少しでも早くこの場所から逃げなくては。


百合子は必死だった。


また自分は、以前と同じような恐怖を味わうのだろうか?


それどころか、今度は、自分の命すら、危ないのではないだろうか?


百合子は、暗い廊下を走り抜け、玄関にあった自分のスニーカーに足を突っ込み、ドアノブに手をかけ、ドアを押した。


そしてその瞬間、百合子の体から血の気がサッと引いて、百合子はその場で凍りついた。


百合子が、何度ドアノブをひねってドアを押してみても、何故だかドアは開かなかった。