私は不気味な笑みを浮かべている立川早苗の胸めがけて、握りしめた果物ナイフを突き出した。


そして私の目には、果物ナイフが立川早苗の胸に突き刺さるのが、はっきりと見えていた。


でもそれなのに、果物ナイフを握っている私の手には、立川早苗を突き刺した衝撃が何も伝わらず、私の両腕は立川早苗の体をすり抜けた。


私は予想外の出来事に、前のめりになって、リビングの床に倒れてしまった。


両手両膝を床につき、うずくまった私の背後から、私を嘲笑う声が聞こえてきて、私はとても冷静ではいられなかった。


私は、ゆっくりと振り返り、殺意のこもった目を悪霊たちに向けた。


〈 殺してやる! 〉


私は、私を嘲笑う悪霊たちを見て、果物ナイフを持つ手に力を込めた。


〈 何度でも、何度でも、あなたたちが姿を現さなくなるまで、この果物ナイフで切り刻んでやる 〉