武士は、百合子の学校の近くに小さなアパートを借り、新しい生活を始めた。


武士は、本当は買ったばかりの家から出て行くようなことはしたくなかったが、いつも酔いつぶれている小夜子と一緒にいるのが嫌だった。


百合子が心の病にかかったかと思ったら、小夜子までがあんな風になってしまうなんて……。


あれほど幸せだった自分の生活が、少しの間でこんなにも変わってしまうなんて……。


武士はまるで、悪夢でも見ているかのようで、食事も喉を通らず、しだいに痩せていった。