「小夜子にはもう、何を話しても無駄みたいだ」


武士は、缶ビールを手放さない私を軽蔑の目で見て、私に言った。


「酒に溺れて、何になるっていうんだ。

目の前にある問題は一つも解決しない。

小夜子が現実から逃げれば逃げるほど、僕はつらい思いをしなければならないんだ」


武士はそう言って、私の手から缶ビールを取り上げ、床に投げつけた。


「もう、うんざりだ。

僕は小夜子と一緒にはいられない。

これから僕たちは、別々の道を歩くことになるだろう」


武士はそう言って、家を出た。


私は、床に落ちた飲みかけの缶ビールをぼんやりと見つめていた。