就職先も決まった私は、もう中学校生活に思い残すことはなかった。


今さら真剣に授業を聞いてみても、学校で学んだその知識が、食品工場で必要だとは、私には思えなかった。


これからはおそらく、以前のように生活が苦しくなることもなくなっていくのかもしれない。


病気がちの母にかかる負担も減るだろう。


でも……。


私はそう思って胸が痛んだ。


従業員、わずか十二名の小さな食品工場で、私はいったい、どんな夢を見ればいいのだろう?