私はずっと父を憎んできたが、今になって、私の心の中にあった憎しみは、少し薄れていた。


私はお酒に酔いながら、私はやっぱり父の娘だったのだと気づいたから……。


他人を不幸にしても、自分だけが幸せになろうとする身勝手さ。


自分が抱える問題を直視できず、お酒に逃げてしまう心の弱さ。


私は、ずっと憎んでいた父の生き写しなんだと思ったとき、卑屈な笑みを浮かべ、私は泣いた。


百合子を輝く宝石にしたいと思っていた私は、傲慢だったのかもしれなかった。


だって、百合子の母親である寺田小夜子は、掃いて捨てるほどいるその他大勢、河原に転がる鉛色の石ころに過ぎなかったから……。