父も自分の弱さにきっと気づいていた。


自分は、駄目な人間だと思っていたに違いなかった。


でも、そんな父でも自分の幸せを心の中では願っていたのだと、私は思う。


せめて自分だけでも幸せになりたい。


この甘い誘惑に父は勝てなかった。


母を捨て、私を捨て、自分が一人になったならば、もう一度自分はやり直せるって……。