私の大切な百合子も、結局は、子供の頃の私と同じように、河原に転がる鉛色の石ころにしかなれないのだろうか?


河原に無数に転がって、他と区別のつけようもない鉛色の石ころに……。


「武士さん、ごめんなさい。

私、今晩、ここで気の済むまでお酒を飲んでもいいかしら?」


「小夜子……、お前の気持ちはわかるけど、お酒は、目の前にある問題を何も解決してはくれない」


「武士さん、私もそんなことはわかっているの。

でも、私は弱い人間だから、常に正しいことができるわけではないの……。

私は、自分が誰だかわからなくなるまでお酒を飲んで、酔いつぶれていたいの……」


私はそう言って、うなだれ、武士の前で泣いた。


私は、自分の幸せをずっと心から強く願っていたのに、私の願いが、手を伸ばしても届かないくらいに遠のいて行くのを感じていた。