「百合子はこのまま、あの部屋に閉じこもって、いたずらに歳を重ねればいいと、小夜子は思っているのか?」


「違うわ。

そんなこと、私は少しも思っていない。

私だって、百合子に元のような明るくて、かわいらしい女の子に戻ってもらいたいって思ってる……」


「だから僕は、百合子を医者に診てもらうべきだと言ってるんだ。

僕たちが、今まで何度、百合子に部屋を出るように話しかけたと思っているんだ。

百合子はもう、僕たちの手には負えない」


「武士さん……」


私はそうつぶやいて、武士の顔を見た。