「小夜子、僕は明日、百合子を病院に連れて行こうと思う」


夕食を終え、リビングのソファーに向き合って座っていた武士が私に言った。


「最初のうちは、時間が経てば百合子は元のような明るい子に戻れると思っていた。

でも、それは無理だと僕は思う。

百合子は、ちゃんと病院で診てもらうべきだ」


私は、武士が言ったその言葉に思わず反論した。


「待って。

それじゃ、百合子が精神病患者だって認めてしまうことになるわ。

あの子、病院の先生に変な病名をつけられて、周りから偏見の目で見られなくてはならなくなるのよ。

あの子は、まだ、小学校なのに……」


「だったら、どうしたらいいんだ!」


武士はそう言って私の顔を見た。