お酒を飲んでみても、何の解決にもならないことは、私にもわかっていた。


酒に酔い、自分が抱える問題から目をそらし、いい気分になって、束の間の幸せを楽しむ。


そして次の日に、酔いが醒め、はっきりと自分が抱える問題を認識したとき、昨日の楽しかった夜は夢だと気づく。


幼い頃、私は父を見て愚かな人だと思っていた。


お酒を飲んで暴れてみても、現状は何も変わらないのにって……。


私は、ビールが体を駆け巡る度に、束の間の幸せが、私の中に充満していくのを感じていた。


〈 もしかしたら、父は間違っていなかったのかもしれない…… 〉


私はまたビールを口にしながら、そんなことをぼんやりと思った。


〈 だって、目の前にある問題は、解決するよりも、目を背けた方がずっと楽だから…… 〉