酒に酔った父を見て、私は、お酒なんか飲まないで、もっとやるべきことが父にはあるのではないかと思っていた。


苦しいことからは目を背け、意味もなく母を殴るのならば、もっと前向きで、建設的な何かを父はするべきではなかったのか?


私は、救いを求めるように冷えた缶ビールを手に取って、フタを開けた。


そして缶ビールに口をつけ、私の体の中に冷たいビールが通っていくのを感じると、私の心は少しだけ軽くなり、私はホッとして息を吐いた。