私がソファーに体を沈めてから、何もしないままに、時間だけがさらさらと流れていった。


百合子はもう、元の明るい女の子には戻れないのではないかと、私は、白い壁をぼんやりと見つめながら思った。


百合子は、病人のような青白い顔をして、一人、部屋の中で、二週間も怯えて体を震わせているのだ。


百合子の心が壊れてしまったことを、百合子の担任教師のような第三者ならすぐに認めるかもしれないが、私は、百合子が病気だと認めたくなくて、ずっとその事実から目をそらしていた。


でも、百合子の心が壊れてしまったことは、もうこの私ですら認めざるを得ない事実であった。


百合子の成長していく姿を見ることが、私の最高の幸せだった。


百合子が、あの桜井由美のような女の子になってくれることが、私の夢だった。


私は今日の朝方、私の腕の中で、怯えて震えていた百合子の姿を思い出すと、悲しみがこみ上げてきて、思わず涙がこぼれ落ちた。


〈 百合子はもう、あの桜井由美にはなれないのね……。

私はこれから、どんな夢を見ればいいのかしら…… 〉