「明日、もう一度私が、百合子に言ってみるわ。

いい加減、部屋から出なさいって。

このままじゃ、百合子は駄目になってしまうから……」


私はそう言ってうつむいた。


私の大切な百合子を何とかして、元の明るい女の子に戻してやりたい。


楽しく学校に通わせてあげたい。


そして私は、娘の百合子を私が憧れたあの桜井由美のような女の子にさせてあげたい。


「小夜子、よろしく頼むよ。

小学生の一日一日は、とっても重要だ。

百合子はその大切な時間を自分の部屋にこもって、無駄に過ごしている。

もし、小夜子が説得しても駄目ならば……」


武士はそう言って、小夜子の顔を見つめた。


「百合子を精神科の医者に診察してもらおうかと思う」


「精神科の医者だなんて……」


小夜子は、弱々しい声でそうつぶやいた。