武士が仕事に出かけると、私は百合子と二人で家に残される。


ほとんど自分の部屋から出て来ない百合子が心配で、私が百合子の部屋を覗いてみると、百合子は部屋の隅で体を震わせ、怯えていた。


〈 百合子は本当に、心の病気なんじゃないかしら? 〉


私の頭の中にそんな考えが浮かぶと、私はいたたまれなくなって、百合子の部屋のドアを閉めた。


百合子にあの桜井由美のような女性になってもらいたいという私の夢は、急速に色あせ、萎んでいった。