私は誰にも言えずにいたが、最近、誰から送られて来たのかもわからいメールが、私の携帯電話に届くようになっていた。
それは決まって、午前十一時。
武士が仕事に出かけ、百合子が学校に行っているそのときに、そのメールは必ず来るのだった。
最近、送られて来たメールの内容は、こうだった。
〈 小夜子さん、幸せそうですね。
とてもうらやましいです。
私は、頬の切り傷が痛くて、のたうち回っています 〉
〈 小夜子さん、好きな人と家族を持つって、どんな気持ちですか?
私は、右腕が切り落とされたように痛くて、苦しいです 〉
〈 小夜子さん、あなたは人の不幸せを踏み台にして、自分だけ幸せになる人をどう思いますか?
私はそんな人を許せません。
私は毎日、水の中に沈んでいるような息苦しさに悶えています 〉